西幕下36枚目の鳴滝(24=伊勢ノ海)のストレス発散法は、小学校4年生から始めたピアノを弾くことだ。都内のスタジオで時には6時間以上没頭するほど熱中する趣味で、部屋の力士たちに自作した曲を披露することも少なくない。「相撲は精神的にも負担が結構大きいので、ピアノを弾くのが僕の癒やしになっています」と力説した。

「不純な動機なんですけど…」と打ち明けるピアノとの出合いは、好きな女の子に誘われたから。紹介された教室に通っているうちに夢中になった。曲をマスターするたびに大きな達成感を得て、ついには「好きな子がやめても続けてました」。小4から高3までの約9年間通った。「実はピアノ歴の方が相撲より長いんです」と話す。

十八番はTM NETWORKの「GET WILD」。弾く際の指の感覚が染みついている。気に入った曲を何度も練習して自分が納得するまで仕上げる過程は、相撲とはまた違うやりがいを感じている。「僕は音楽には上とか下がないと思っていて、自分を好きなように表現できるところが良いですよね」。今場所は4勝2敗で既に2場所連続の勝ち越しを決めている。残り一番もしっかり勝ち切り気持ちよく帰って、美しい音色を奏でたい。【平山連】