ボクシングの元WBC世界バンタム級暫定王者井上拓真(25=大橋)が年内の世界王座返り咲きを見据え、早くもスパーリングを開始した。

14日に東洋太平洋同級王者栗原慶太(28=一力)に挑戦し、9回負傷判定勝ちを収めた井上は26日、神奈川の所属ジムで同門の元東洋太平洋スーパーフライ級王者松本亮(27)と4回のスパーリングを消化。試合から12日後で本格的な実戦トレに入った。

3日間休んだ後、既に18日からロードワークなどで体を動かしていたという井上は「試合のダメージは何もないし、(父)真吾トレーナーと相談してスパーリングを始めると決めました。1つ1つ、父も納得するような内容をみせていきたい」と充実した笑み。真吾トレーナーも「鉄は熱いうちにうて、の通り、良いイメージを継続するためにのスパーリング。良い内容だった」と合格点を出した。異例の早期スパーリング開始に大橋秀行会長も「恐るべき向上心です」と驚いていた。

19年11月、WBC世界同級正規王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)との王座統一戦に判定負けし、1年2カ月が経過。WBAスーパー・IBF世界同級王者の兄尚弥(27=大橋)と同じ時間帯で練習しており「年内には世界王座に再挑戦したい」と兄弟世界王者復活を目標に掲げている。その決意の表れとも言える早期スパーリング開始。「もう相手に付き合って打ち合ったりするのではなく、自分が思い描く試合、ボクシングスタイルをしていきたい」とイメージしながら、スパーリングを継続していく。