必殺のダイレクト・ドライブ(旋回式ダブルアームDDT)が、ついに因縁の敵を捉えた。

メインイベントとなった第10試合、YOH(33)が、昨年のBOSJ決勝戦で苦杯をなめた高橋ヒロム(32)から、シングル4戦目にしてうれしい初白星を飾った。

試合序盤、勢いよく飛び出していくと、膝狙いから自身のペースに持ち込んだ。だが、史上初の3連覇を目指す相手は、一筋縄ではいかない。後半には強烈な打撃の反撃を受けた。

それでも、この日は、試合中に大きな声を出すなど、珍しく感情をむき出しに。気迫で上回った。最後は17分57秒、渾身(こんしん)の必殺技をさく裂。完璧な形ではなかったものの、執念の3カウントを奪取した。

高橋には、昨年のリーグ戦からシングル3連敗を喫していた。現在のリングネーム以前の試合を含めると5連敗。勝っても負けても、控えめな口数から「感情がない」などと批判されることも多かった。

試合後、マイクを握ると「今日勝てたのはたまたまだと思っています」と、いつものように謙遜。だが「俺、プロレスがめっちゃ好きだ」と、あふれる思いを口にした。「こうじゃなきゃプロレスじゃない(というのはない)。本当はもっと自由でいいんだよね」。自分のスタイルは間違っていない。その証明のため、今度こそ新日本ジュニアの頂きに立つ。