IBF世界スーパーフェザー級王者尾川堅一(34=帝拳)が完全アウェーで初防衛に失敗した。

地元・英カーディフ出身の同級3位ジョー・コルディナ(30=英国)との初防衛戦に臨み、2回KO負けを喫した。カウンター気味の右ストレートを顔面に食らい、そのままダウンを喫して立ち上がることができなかった。2回1分15秒、KO負けとなった。英国では日本人の英国人相手の世界戦は過去5戦全敗。嫌なデータを払拭(ふっしょく)できなかった。

昨年11月、米ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)での王座決定戦でIBF世界ベルトを獲得して以来約7カ月ぶりのリングだった。日本人がスポーツの殿堂MSGで世界戦勝利したのは初めて。日本人の海外での王座奪取は史上11人目の快挙だったが、英国での初防衛を成功させることはできなかった。

試合1週間前の5月29日に現地入り。すぐにカーディフ城を巡るなど「外に出て雰囲気を味わい、良いイメージをつくる」と前回同様のルーティンで完全アウェー戦に対応。カーデイフ市内のショッピングモールでの公開トレやシティセンターではブーイングも浴びて敵地の“洗礼”も浴びていたものの「(ブーイングは)やっぱり気持ちの良いものではない。分かってはいても気持ちの良いものではない。でもやっぱり歓声が聞こえると気持ち良かったし、試合では歓声に変えられるような気持ちでいきたい」と持ち前のメンタル的な強さをみせていた。

IBF独自ルールとなる試合当日朝の計量もクリアした尾川は「状態としては抜群なので言い訳はありません」とキッパリ。「負けたら終わり。だからこそ負けない、負けたくない。そのために戦う」心身ともに充実したコンディションでゴングを迎えていた。

◆尾川堅一(おがわ・けんいち)1988年(昭63)2月1日、愛知・豊橋市生まれ。明大時代、日本拳法部主将としてインカレ団体優勝経験を経て、帝拳ジム入門してボクシングに転向。10年にプロデビュー。11年に全日本新人王を獲得。15年に日本スーパーフェザー級王座を獲得し5度防衛。17年12月、米ラスベガスでIBF世界同級王座決定戦でファーマー(米国)に判定勝ちしたが、ドーピング違反で無効試合に。1年間のボクサーライセンス停止後、19年2月に再起戦勝利。21年11月に同王座決定戦でフジレ(南アフリカ)に判定勝ちし、念願の世界王者に。家族は梓夫人と息子3人。身長173センチの右ボクサーファイター。