謎の男・辻陽太(29)が、その怪物ぶりを見せつけた。凱旋(がいせん)帰国直後の試合で、IWGP世界ヘビー級王者のSANADA(35)に挑戦。試合序盤にいきなりのスピアー。アメフト仕込みの強靱(きょうじん)なタックルで、SANADAを吹っ飛ばした。

ムーンサルトプレスも披露するなど、ポテンシャルの高さを見せつけた。試合には敗れたが、インパクトは抜群だった。

異例の挑戦だった。辻は海外に武者修行中だった。帰国直後に、団体の最高峰のベルトに挑むのは12年2月12日のオカダ・カズチカ以来、11年ぶり。オカダが、棚橋弘至に勝利した「レインメーカーショック」ぶりの出来事だった。オカダ以来の戴冠は逃したが、冒頭のスピアーといい、辻のスケールの大きさは本物だった。

辻は19年4月13日の茨城大会で、プロ初勝利。そして21年8月1日に行われた後楽園ホール大会の壮行試合の内藤哲也戦を最後に、海外へと鍛錬の日々に向かった。英国、メキシコで経験地を積み、約2年ぶりに日本へ帰ってきた。

5月3日の福岡国際センター大会で電撃登場。そして、内藤哲也率いるロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(LIJ)の代名詞・胸を2回たたくポーズを披露した。すると、前日3日の調印式で、SANADAと辻の記者会見後に、LIJの面々が登場し、ここで辻が加入表明。差し出されたLIJのTシャツを受け取り、5人と拳を合わせた。

突然の帰国、そしてLIJへの電撃加入、そして、IWGP世界ヘビー級王座への挑戦…。謎の男の勢いは、止まらなそうだ。