「ONE SAMURAI 1」(4月29日、東京・有明アリーナ)でロッタンとの引退試合を迎える“ナチュラルボーン・クラッシャー”武尊(34=team VASILEUS)は長らくK-1の顔として活躍し、前人未到の3階級制覇を成し遂げた。
しかし途中から戦う楽しさが薄れ、目的が分からないような感覚に陥った。「何のために戦ってるか、本当に自分で分からなくて。自分が頑張らなかったらK-1がダメになって、僕の職場もなくなって、僕への注目とかも全部なくなる…。ちょうどRISEで(那須川)天心選手が活躍するようになって、K-1の立場がどんどん危うくなっていったんで。僕が頑張らないとっていうのだけで戦っていました」と振り返る。
3階級制覇も達成し、団体内には相手もいない。「そうなった時に他団体で一番強いと言われている天心選手とやりたいというのが僕の思いだったんですけど、何年間かできない状態が続いて。このままだと自分のピークが過ぎちゃうから、今できないんだったらもうやめようかなっていうのは、ちょっと思いだしました」と、その時期、初めて引退について考えたことを明かした。
22年にようやくTHE MATCHで天心と対戦。その後、ONEへ活躍の舞台を移した。「K-1時代は待遇が悪いとは思ってなくて。ファイトマネーも1回も交渉したことないですし。PR活動もギャラはほぼ出てなかったですけど、K-1を良くしようと文句言わずにやってました」。そこから外の世界を知り、思うところは多かった。
武尊は今ではK-1について「ちょっと応援できないかな…というか言い方が難しいですけど、一緒に盛り上げようみたいな気持ちになれなくなってきたという感じですかね」という。選手が大事にされていないと感じる待遇、契約内容や、他団体との交流に消極的な姿勢がその理由だ。
武尊は「今回もONE SAMURAIとか、この前もGOATとか全団体を集めて(大会を)やろうってなった時に、絶対参加しないじゃないですか。それだとこの業界が盛り上がらない。それにK-1の選手たちも周りから『他団体の強豪とはやらないんだ』と言われてしまう。僕もそれですごい悔しい思いをしました。選手を他団体に出場させて強さを証明して、K-1の価値を上げるやり方をしてくれたらっていうのはあります」と説明した。
後輩の寺田匠はK-1を飛び出し、RISEのリングで安本晴翔との頂上決戦にこぎつけた。「でも、それも今まで格闘家として稼いだファイトマネーを全部足しても集まらないような違約金を払わないといけない。もうちょっと選手を大切にする契約にしてあげてほしいなっていうのは思いますね」と願った。(続く)【千葉修宏】

