WBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志(32=ワタナベ)が地元での凱旋(がいせん)勝利を政界進出の第1歩にする。7月16日、埼玉・ウイングハット春日部で5度目の防衛戦を行うことが、29日、発表された。会見は地元最大のお祭り「春日部藤まつり」の会場で行われた。

 春日部の大イベントには15万人が来場した。会見前には石川春日部市長らとともにパレードに参加し、沿道から大歓声を浴びた。会場は自宅から車で10分。「生まれ育った場所。ものすごく気合が高ぶるだけに、空回りしないようにしたい」と表情を引き締めた。

 春日部では物語の舞台になった漫画「クレヨンしんちゃん」に並ぶ人気を誇る。「地道な努力で頂点をつかんだ。勝ってもおごらない人間性も素晴らしい」と石川市長。埼玉県警のポスターにも起用され、道徳の教科書にも登場。まさに地元の期待を全身に背負う。

 そんな地元のヒーローだけに、周囲には引退後、地元選出の国会議員に推す声もある。本人も「今は考えてないが、将来的には社会貢献したい気持ちはある」と話す。「春日部の子供たちに、情熱を感じ取ってもらいたい。強い内山を見せます」。対戦相手は来月初旬に決定。誰が相手でも春日部市民の記憶に残る豪快なKO劇を見せる。【田口潤】