日本プロレス界の祖・力道山(63年没)の孫、百田力(ちから)さん(30)がプロレスラーを目指して、本格トレーニングを積んでいることが19日、明らかになった。祖父・力道山、父・百田光雄(63=天龍プロジェクト)の後を継ぎ、日本初の家族3代でのプロレスラーが目標だ。早ければ年内にも、天龍プロジェクトの大会でデビューする。

 力さんが最初にプロレスラーを目指したのは、土浦日大高2年。レスリング部に入部。「小さいころから力道山の孫と言われましたが、直接は知らない。レスラーになる気はなかった。でも全日本時代の小橋(建太)さんや秋山(準)さん、格闘技の桜庭(和志)さんを見ているうちに、やってみたいと思うようになった」と振り返る。

 進学先の日大法学部にレスリング部がなく、ジムで鍛えプロレス入りを目指した。04年に父の所属していたノアの入門テストを受けたが不合格。「甘く見ていました。スクワットで心が折れてしまいました」。

 父からは「全て完璧にこなせるようになるまでは、2度と受けるな」と言い渡された。その後、スポーツクラブで働きながら鍛え続けたが思いは封印。その間、父の妹の息子でいとこの田村圭(慶大野球部4年)が、慶応高で甲子園に出場して騒がれたが「弟みたいな感じ。気になりませんでした」と言う。

 プロレスへの思いがよみがえったのは10年4月。09年にノアを退団した父光雄が8カ月ぶりに天龍プロジェクトで復帰。「セコンドに就いたんですが、父が大興奮。あんなにうれしそうな姿を初めて見ました」。桜庭が主宰するジムLaughter7に通い格闘技のトレーニングを積んだ。

 そして、今年5月の天龍プロジェクト・後楽園大会で、父と対戦した折原昌夫(43)から挑発され、プロレスラーになる決心をした。スポーツジム勤務の仕事の合間に週5日のトレーニング。折原主宰の群馬・館林のメビウス道場にも通い、受け身を特訓。「攻撃はともかく、受け身が全くできなかった。けがにつながるのでしっかりやらないと」と表情を引き締める。

 折原は「道場で遠くから見たけど、まだ駄目」。父は「焦らなくていい。来年の力道山没50年までにデビューできれば」と親心を見せる。「デビューできたら父とタッグを組んでみたい」と言う力道山の孫。伯父の故義浩さんは34歳でデビュー、遅すぎることはない。早ければ年内に力道山3世の雄姿が見られる。【小谷野俊哉】