元幕内力士で今年3月の春場所を最後に引退した元天鎧鵬の引退、秀ノ山襲名の断髪式が8日、両国国技館で開かれた。

断髪式には、日大時代の恩師で日大の田中英寿理事長、お笑い芸人のあかつ、放送作家の鈴木おさむらが出席。日本相撲協会関係者では、一門の春日野親方(元関脇栃乃和歌)ら親方衆、関取衆では親交のある横綱白鵬(34=宮城野)、一門の大関豪栄道(33=境川)、十両豊ノ島(35=時津風)が出席。約150人の最後に、同じ熊本・文徳高-日大を経て角界入りした師匠の尾上親方(元小結浜ノ嶋)が止めばさみを入れ断髪式は終了した。

断髪式後、整髪中に取材対応した秀ノ山親方は「来ていただいた方、それぞれに思い出があります。横綱、大関、親方衆もたくさん来ていただいて本当にうれしかった。涙は出なかったけど感動しました」と話した。

今後は尾上部屋の部屋付き親方として後進の指導にあたるが「相撲界に入って思ったのは、あきらめないで良かったな、ということ。関取を育てたいけど、第一に貪欲な、あきらめないで上を目指す力士を育てたい。結果はどうあれ一生懸命、頑張って気持ちを表に出すような」と抱負を語った。明るい性格そのままに、約12年をともにしたマゲとの別れにも「髪を洗う時も『何もない』って。スッキリしました。石立鉄男です」と周囲を笑わせた。断髪式前には10カ月の長男維風輝君を抱いて最後の土俵入り。「本当は地方巡業で関取として子供を抱いて(の土俵入り)が理想だったけど、でも最後にこうやって土俵入りが出来て良かった」と父親の顔をのぞかせていた。