西幕下2枚目の19歳、北青鵬(宮城野、札幌市出身)が、東幕下6枚目の時栄(24=時津風)を寄り切り、無傷の4連勝で勝ち越しを決めて関取の座に大前進した。モンゴル生まれで、身長2メートルの大型力士が出世街道を突き進んでいる。新入幕の一山本(27=二所ノ関、岩内町出身)は大奄美(28=追手風)を寄り切り、5勝目を挙げた。

19歳の大器は慌てなかった。立ち会いで一瞬、もろ差しを許したが、左上手をがっちり引いた。「まわしを取ろうと思っていて、まわしを取って勝つことができてよかった」。すぐに右を差し返すと、左腰を相手に寄せながら攻め続け、寄り切った。負けなしの4連勝で勝ち越しだ。

因縁の相手だった。今年3月の春場所1番相撲で敗れ、序ノ口デビューからの連勝が「21」でストップ。その相手が、この日の時栄だった。「同じ相手に2度は負けられない」。初土俵からわずか3度しか負けていないが、その1度、しかも初めて黒星を喫した相手を、今回は力でねじ伏せた。

昨年7月場所の序ノ口優勝から、3場所連続で三段目までの各段の全勝Vを達成した。今年初場所は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、宮城野部屋の全力士が全休を余儀なくされたが、それ以外の6場所はすべて勝ち越し。身長約2メートルの懐の深さを生かし、順調に出世を重ねてきた。

大相撲入りのきっかけは、横綱白鵬にスカウトされたこと。今場所に進退をかける兄弟子からは「いつも通り自分の相撲をとれとしか言われていません」。次世代の横綱候補が、勝ち越して新十両昇進の“権利”をゲット。まずは大きな白星を手にした。

来場所に10代で新十両なら、所要7場所のスピード昇進となる。「まだ決まったわけじゃないんで、残り(の相撲)に集中していきたい」。残りも白星を積み重ね、関取へのステップアップにする。

○…雨竜町に住む北青鵬の両親が、息子の勝ち越しを喜んだ。農業に従事する父エルデンビレグ・エンフテブシンさん(38)は作業の合間に取り組みをチェック。「とてもうれしかった。この後も目の前の1つ1つに集中して戦ってほしい」。日本語指導員をする母バルハス・アリューナーさん(39)は仕事が終わってから動画で確認し「落ち着いていて良かった」と振り返った。