6場所連続休場明けの横綱白鵬(36=宮城野)が、大関正代を浴びせ倒しで下し、初日から無傷の14連勝とした。大関照ノ富士も14連勝。千秋楽では12年名古屋場所以来9年ぶりとなる全勝決戦となった。

異様な光景だった。白鵬は仕切り線のはるか後方、土俵際ギリギリまで下がって先に手を着いた。おそるおそる手を着く正代。互いにふわっと立ち上がり、白鵬がのそりのそりと前へ。合わせて前に出てきた正代に、強烈な左の張り手を一発。今度は右おっつけからの右の張り手を一発。互いに距離を取ってにらみ合い。今度はけん制気味の左の張り手を食らわせると、右を差して左上手を取って前へ。強引に浴びせ倒した。

取材後はオンライン取材の場に現れなかった。土俵下で見守った幕内後半戦の藤島審判長(元大関武双山)は「ああいう立ち合いをしたのは、1番はまともに当たられたくない。ここ1、2年は圧力をいかに受けないようにするかが鍵。バチっと当たられてもろ差しになるのを嫌だったのでは」と推測。一方で「賛否あると思うがなりふり構わず、勝ちにこだわる貪欲さがある」と勝ちへの執念を評価した。