大相撲名古屋場所で進退を懸けて臨む横綱の姿に、弟弟子らも奮起していた。幕内の石浦(31=宮城野)と十両の炎鵬(26=宮城野)だ。

小兵ながらに幕内で活躍する石浦。角界で生きていく上で、目標となる力士を教えてくれたのが白鵬だった。新弟子の頃、誘われて一緒に1本のビデオを見た。映っていたのは「ちびっ子ギャング」の異名を取った、元関脇鷲羽山。小兵ながらに多彩な技で土俵を沸かせる姿に、将来の自分を重ねた。「憧れの力士は鷲羽山さん、と言っているけども、それを教えてくれたのは横綱だった」と石浦。稽古場でも何度も胸を出してくれた。名古屋場所前に「絶対にいい成績を残したい」と意気込んでいた通り、9勝6敗と勝ち越した。

炎鵬は、横綱の背中を見て成長したという。これまでに多くの言葉をもらった訳ではない。しかし「稽古場で肌で感じることが多い」。白鵬が稽古場に降りてきた時に漂う緊張感。黙々と稽古をこなす姿に感化されてきた。「稽古をつけてもらう度に心が強くなる」。名古屋場所では、脳振とうにより不戦敗となるアクシデントがあった。しかし、休場はせず。「横綱にいい姿を見せたい」。その一心で出場を続け、通常は若い衆が行う白鵬の付け人業務も志願した。

弟弟子らの奮闘に負けじと、白鵬は全勝優勝を果たした。白鵬が進退を懸けて臨んだ立場だったからこそ、あらためて部屋の団結力を見た気がする。土俵に上がるのは自分1人。普段は多くは語らない力士らだが、やはり誰にでも秘めたる思いがあった。【佐々木隆史】