各力士にとって重要な最終盤で、心の弱さが出た相撲が何番かありました。

大関に上がろうかという関脇の立ち合い変化。そして単独トップで突き押し相撲の北勝富士は、自分から左を差しに行きました。四つ相撲でも取れるのが北勝富士の持ち味ではありますが、この大一番でやる? と不思議に思いました。しかも左四つは伯桜鵬の得意の形です。こうなると伯桜鵬の相撲です。

連日、19歳とは思えない相撲を見ていますが、この日は「我慢」に感心させられました。自分より体の大きい相手に、右の上手が遠い状況で巻き替えたいところですが、そこを我慢して相手の動きを見て、土俵際の勝負を読んでいたのでしょう。技術的なうまさを感じたのは肩で相撲を取れることです。左肩を押して寄せながら、北勝富士の神経をそこに集中させて、相手が出るところを待ってましたとばかりに右から逆転の突き落とし。相手を自分の術中にはめるような、巧妙な相撲でした。

千秋楽の豊昇龍戦は、左を差せば伯桜鵬が有利かなと思います。豊昇龍とすれば絶対に左を差されないこと。前へ前へ、おっつけられるぐらいの立ち合いをしないと伯桜鵬の勢いは止められないと思います。あとは私の経験上、相撲より緊張するのが三役そろい踏みです。千秋楽当日に場所で慌てないように、しっかり準備することです。(日刊スポーツ評論家)