西十両3枚目の錦富士(29=伊勢ケ浜)が嘉陽を押し出し、6勝2敗とした。立ち合いから回り込んだ相手に右肘を捕まれた。
「カッとしたけど、冷静に攻められた」。一時劣勢も立て直し、土俵の外へと相手を押し出した。
地元・青森のプライドを懸けた9月だ。
幕内の尊富士はケガで全休の見通し。十両の錦富士か宝富士が再入幕しなければ、来場所は青森県出身の幕内力士が途絶えてしまう。明治時代の1883年から142年続く伝統は事実上、2人に託されている。
取組後、元横綱照ノ富士の伊勢ケ浜親方(33)には「いい相撲だった」と言われた後に「頑張って200年ぐらいやってほしい」ともはっぱをかけられた。
家族の支えも力に変えている。日々の体づくりを気遣い、妻静香さんが作ってくれるブルーベリーを入れたヨーグルトや芋料理は元気の源だ。「ジャガイモやサツマイモを300グラムも取るので、『頭が狂う』と言ったら、(妻からは)『作っているこっちも頭が狂う』と言われた」と話すが、同時に感謝も込める。
ほかの力士の成績にもよるが、9勝を挙げれば再入幕の可能性も広がる。
中日を終えて、残り3勝に迫る。「ここまで来たら、やるしかない。1日1番で自分の相撲を取っていくことを大事にしたい」と錦富士。師匠、仲間、家族一丸で1世紀半近く続く青森の伝統を守りにいく。

