テカテカのポマードの頭で颯爽(さっそう)と歩く橋本龍太郎内閣総理大臣を想起した。ホンモノの剣道家。私と顔を合わすと、野党の私にいつもウインクしてくれた。横浜市が近代的な立派な武道館を竣工(しゅんこう)させ、その式典に参加して演武を見ているうちに橋本総理の顔が浮かぶ。

小柄でも姿勢が美しいと大きく見える。橋本総理は小柄だったが、ちっとも小さくなかった。「文化振興法」の改正をする委員会に橋本総理が出席、「日本の伝統的な武術は文化ではないのか。それらの入っていない改正は認めない」と発言。大臣をはじめ文部省幹部も総理に「マッタ!」をかけられ困り果てる。

「古典的な身体文化として改正案の中に入れるべきです」。この私の発言で橋本総理は納得。法律に初めて「身体文化」という語が書き込まれた。以来、総理がよく声を掛けてくださる。そして、武道振興議員連盟の一員として、武道を義務教育の中で必修科目にすべく、与野党の壁を越えて走りまくる。

平成24年から中学2年生に武道の授業が必修となった。私が副大臣の時で、政治家冥利(みょうり)につきる政策実現だった。私は日体大武道学科の1期生、相当、執念を燃やしたのは当然だ。

具体的な記述をする紙幅を持たぬが、公立の学校への補助金の割合を知っておいてほしい。たとえば、100円の体育館を建設するとしたなら、国が33円、都道府県が33円、自治体が33円負担する約束。だが、中学の武道館建設は、90円が国、都道府県が5円、自治体の負担が5円というスキーム。これで全国の中学校に武道館、あるいは体育館が建てられたのだ。

橋本総理の時代から全国の生徒たちに日本人の心を植えつけようと先人たちが努力された。横浜市の武道館も横山正人市会議長の話によれば、30年間も関係者たちが運動して建設にこぎつけたという。隣の文化体育館のサブアリーナになるらしいが、同体育館は解体、令和6年に新築されるそうだ。橋本龍太郎氏は、入退院を繰り返し、退院されて内祝いの銀のスプーンを贈っていただいたが、まもなく逝去された。必修科目の実現する前だった。合掌。