石原裕次郎賞ー「クライマーズ・ハイ」原田真人監督
- 原田真人監督はポスターの横で笑顔を見せる
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【受賞発表記事】
85年に発生した日航機墜落事故を題材にした「クライマーズ・ハイ」が、石原裕次郎賞に選ばれた。史上最悪の死者520人という大惨事を詳細に再現。地元新聞社が使命感に燃え、混乱しながらも報道する様子を描いた。原田真人監督(59)は、あこがれのスターの名前を冠した賞だけに感慨深げ。県警キャップの新聞記者を演じた堺雅人(35)が助演男優賞を受賞し、この作品が2冠を獲得。
原田監督は、受賞を聞いた時を振り返った。「感動しましたね。『えっ!』という意外性があった。スタッフも石原裕次郎にあこがれていた世代。全員が喜んでくれると思う」。99年に「金融腐蝕列島・呪縛(じゅばく)」で椎名桔平が助演男優賞を受賞して以来、自身の作品が日刊スポーツ映画大賞に絡んだのは9年ぶり。「あの時に授賞式に行って、『裕次郎賞の作品(梟の城)はいいなあ、大作だなあ』と思った。年末を裕次郎賞で終えるのは最高」と笑顔を見せた。
裕次郎さんの演技が、「クライマーズ・ハイ」の演出に影響を与えた。「『幕末太陽伝』(57年)で見た裕次郎さんは、高杉晋作のしゃべり方とか、雰囲気を出していた。幕末の志士のリアリティーがあった」。今作品も50人の編集局員にエキストラを起用せず、全員を役者にし、各部員の動きを丁寧に作り上げた。「主演の堤真一や堺雅人を中心に、新聞記者を演じた役者たちの臨場感は、評価していただけたと思う」。現実に近づける徹底ぶりは、裕次郎映画が原点だった。
今作品は、過去の大惨事を記録するという社会的役割も担った。「映画を見ていただいた遺族の方が、『大切なことは、事故を風化させないことだ』と言われていた。僕自身も、終わった事故だとは思っていない」。飛行機内の圧力を一定に保つための圧力隔壁の破損が事故原因とされているが、再調査を求める声があることにも配慮。映画の最後に「再調査を望む」というメッセージを入れた。
来年は時代劇を撮影する予定で、脚本執筆に入っている。「僕の中では、裕次郎さんは時代劇のイメージ。来年は時代劇を作るので、運命的な巡り合わせを感じる。12月28日の授賞式の後は、カラオケで『夜霧よ今夜も有難う』を歌いますよ」。永遠の大スターとの“出会い”に感謝した。【柴田寛人】
[2008年12月4日 紙面から]
◆「クライマーズ・ハイ」 群馬県・北関東新聞の遊軍記者の悠木和雅(堤真一)は85年8月12日、販売局員の安西(高嶋政宏)と谷川岳に登る準備をしていた。出発直前、ジャンボ機墜落事故が起こる。悠木は全権デスクを命じられる。県警キャップの佐山(堺)らが山に向かい、それぞれの闘いが始まった。
◆原田真人(はらだ・まさと) 1949年(昭24)7月3日、静岡県沼津市生まれ。沼津東高、東京写真専門学校を経て、米ペパーダイン大中退。72年にロンドンに語学留学し、映画評論家として活動。79年に「さらば映画の友よ インディアンサマー」で映画監督デビュー。99年「金融腐蝕列島・呪縛(じゅばく)」など社会派ドラマを手掛ける。03年「ラスト サムライ」で俳優も務めた。
- 石原裕次郎賞・選考経過
- 各作品に意見が分かれた。「『クライマーズ・ハイ』は、1つの事件をうまく仕上げていた」(福島瑞穂氏)「『ザ・マジックアワー』は美術的にも素晴らしい」(上野敦氏)「『相棒』は大衆性が一番あった」(深津純子氏)「『容疑者Xの献身』は、堤さんの演技が光っていた」(逸見晴恵氏)。最終的には、「クライマーズ・ハイ」のスケール感が評価された。
日刊スポーツ映画大賞
「タイトル」監督 | 記事 | |
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助演男優賞 | 堺雅人 「クライマーズ・ハイ」「アフタースクール」 |
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新人賞 | 夏帆 「うた魂♪」「東京少女」ほか |
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