11月の公演で、注目している舞台があります。野田秀樹作・演出のNODA・MAP公演「THE BEE」です。
2006年にロンドンで初演され、翌07年に日本でも上演され、以降世界各地で上演される野田の代表作。21年には阿部サダヲ、長澤まさみ、川平慈英、河内大和が出演し、今回は高橋一生、二階堂ふみが新しく加わり、川平と河内は続投です。
21年の河内の出演は大抜てきでした。アンサンブルキャストとして野田作品「エッグ」「MIWA」などに出演していましたが、メインキャストとしては初めて。その舞台を見たテレビのプロデューサーが河内の演技に着目し、2年後のTBS系ドラマ「VIVANT」出演につながりました。河内はドラマ初出演でしたが、堺雅人ふんする乃木らと対立する、悪役のバルカ共和国の外相役で注目されました。25年公開の映画「8番出口」では地下通路をさ迷う主人公役の二宮和也とすれ違う不思議な「歩く男」を演じ、日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞しました。
河内は新潟大工学部建築学科に入学した時に演劇に出会い、以来、演劇にどっぷりの生活でした。大学4年の時に単位が足りずに中退。同時期に新潟に誕生した新潟市民芸術文化会館の俳優養成講座に通い、アルバイトをしながら俳優を目指しました。一時、演劇から離れたこともあったそうですが、32歳で上京。シェイクスピア作品を上演する劇団を立ち上げて演出・主演をする一方、様々な舞台のオーディションに挑戦。そこで野田の舞台の常連になり、蜷川幸雄演出『ヴェローナの二紳士』にも出演しました。
21年「THE BEE」の出演オファーがあった時、河内は「信じられなくて、思わず『えええ-っ!』と声を上げた」そうです。それから5年、俳優として様々な経験をした河内がどんな演技を見せるか。楽しみです。【林尚之】




