故藤間紫さんと2代目市川猿翁(78)の孫の藤間爽子(さわこ、23)が舞台「半神」(7月11~16日、東京・天王洲の銀河劇場)で初舞台を踏む。

 祖母は女優で、日本舞踊の紫派藤間流家元だった紫さん。父は藤間文彦さん、母は島村佳江さんで、ともに俳優だった。紫さんの死後、藤間は紫派の次期3代目家元(2代目は猿翁)として日舞に取り組んだ。しかし、大学3年の時、就職活動に奔走する友人たちを見て、「後悔したくない。小さいころの夢だった女優をやりたい」と、オーディションを受けまくり、17年のNHK連続テレビ小説「ひよっこ」に出演。萩尾望都氏の短編漫画をもとに、萩尾氏と野田秀樹氏が共同で戯曲化した「半神」のマリア役を手にした。

 「緊張する余裕もなく、必死にしがみついています。台本を読んだ時は理解できなかったけれど、稽古で体を動かしながらせりふを言っていると、体で理解できるようになった」。マリアは、体のつながった双子の姉妹の美しい妹。姉の醜いシュラは乃木坂46桜井玲香(24)が演じる。「同じ年で、稽古でいつも肌をつけあっているので、親しみを感じます」。

 今年、長塚圭史が主宰する劇団「阿佐ヶ谷スパイダース」に入団し、8月には劇団公演「MAKOTO」に初出演する。「自分にどれだけの力、可能性があるのか、何でもやってみたい。日本舞踊もやっている私の舞台を見て、日本舞踊にも興味をもってくれる人が増えたら、うれしいです」。尊敬する祖母と同じく、女優と日舞の両立を目指している。【林尚之】

 ◆藤間爽子(ふじま・さわこ)1994年(平6)8月3日、東京都生まれ。幼少のころから祖母藤間紫さんに師事し、6歳で歌舞伎座の舞踊会で初舞台を踏む。日本舞踊家として日本舞踊協会公演などに出演しながら、17年3月に青山学院大文学部を卒業。趣味は三味線。身長154センチ。