舞台、ミニシアター、ライブハウスの3者で展開する、文化芸術への支援を求めるキャンペーン「#WeNeedCulture~文化芸術復興基金をつくろう」の関係者が10日、都内で会見を開いた。

新型コロナウイルスの感染拡大で政府が緊急事態宣言を発動し、活動の自粛、休業要請がなされ、エンターテインメント業界は大打撃を受けた。3者はそれぞれ関係省庁に働き掛けを行ってきたが、個々にやっていても間に合わない。コロナの損害は手を取り合ってやらないと対応できないと、4月末からゴールデンウイーク明けにかけて、共闘していこうと議論が交わされたという。

馬奈木厳太郎弁護士は、文化芸術基本法における文化芸術団体、劇場法における劇場、音楽堂に想定されていないミニシアターとライブハウスを、そこに含めて欲しいと訴えた。国会では、新型コロナウイルス対策の第2次補正予算案が衆院を通過したが、同弁護士は「ミニシアターとライブハウスは、博物館、図書館、美術館と同じ役割を果たし(文化を)映画、ライブという形で表現している。とりあえず、コロナだから助けてあげよう、では足りない。根本的な文化政策の一環、文化が大切だからと支援していただきたい。公共財でしょう」と強調。その上で「後に監督、ミュージシャンとして名をはせている人も出ており、人材の登竜門の役割を果たしている。人生に関わる文化芸術の担い手が、民間だから支援対象にならないのはおかしい」と訴えた。

会見には、全国のミニシアターの支援を目的に、総額3億3102万5487円を集めたクラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」の発起人の1人、深田晃司監督(40)も出席した。同監督は、第2次補正予算案に計上された文化庁の「文化芸術活動への緊急総合支援パッケージ」の総額560億円について「決して少ない金額ではない評価が出ているが、自分の意見としては少ないと思っている」と強調した。

その上で「2015年のデータですが、国家予算に占める文化予算の割合は、フランスは0・87%、韓国は0・99%で、日本は0・11。つまり、フランスの8分の1、韓国の9分の1のしか文化を大切にしていない国だと言える」と続けた。そして「0・11という金額は1038億円。今回、560億円がついたところで0・2%にすらならない。そもそも極端に、異常に少ない文化予算は、構造的欠陥だったことが明らかになった。映画の予算だけで見ても、文化庁の予算は年間20億円、韓国は400億円、フランスは800億円…あまりにも格差がある」と訴えた。

その上で、深田監督は「(日本の)映画業界に関して言うと、まずは業界が一枚岩になっていない。メジャーとインディペンデントが、もっと一緒にならないといけない。韓国には映画振興委員会『KOFIC』が、フランスには国立映画センター『CNC』があるが、それにあたる映画の公的機関が日本に存在しないのが1番の問題」と強調。「まずは映画業界の中で、そういう施設を造っていく。(メジャーの)東宝、東映、松竹にも納得してもらって一緒に作っていく。映画業界が利害を超えて、日本映画の振興のために、何が出来るかを一緒に考えていかないといけない。近道はない」と声を大にした。