石橋静河(32)が主人公を演じるNHK連続テレビ小説「ブラッサム」(月~土曜午前8時)が9月28日にスタートする。

明治、大正、昭和を駆け抜け、自由を求め続けた山口県出身の作家・宇野千代さんをモデルにした物語。長期撮影も単独主演も初めて。このほど取材に応じ、放送を前にした心境や、苦しみの中にも喜びや光を見いだす主人公・葉野珠(はの・たま)への思いを語った。

まっすぐな黒い瞳に、低く落ち着いた声。穏やかな語り口の奥に、芯の強さがのぞく。撮影開始から半年余り。当初「考えれば考えるほどドキドキした」と不安を募らせたが、スタッフや共演者と撮影を重ね、石橋は「1人じゃない。みんなで作り上げるものなんだ」と実感した。

珠は岩国を飛び出し、震災や戦争、結婚と離婚を経て、作家の道を切り開く。宇野千代さんは、4回の結婚と離婚、2回の破産を経験し、「陽気は美徳、陰気は悪徳」を信条に98歳まで生き抜いた。当初、千代さんの前向きさに戸惑ったが、著書などを通じ、苦しみや嫉妬を受け入れた上で「自分の心にどんな景色を持つのかを選んだ人」だと理解した。

珠を演じる上で大切にしているのは、千代さんの「ワクワクする気持ち」と、夢中になって不安や恐れを乗り越える力。その核を保ちつつ、「ブレないようにしようと思ったら、ポキッと折れちゃいそう」と語る。周囲に助けられ、揺れも受け入れながら長丁場に向き合う。

父は石橋凌、母は原田美枝子。幼い頃から「好きなことを一生懸命やりなさい」と教えられ、コンテンポラリーダンサーから女優へ転身した。デビュー時は両親の存在ばかりが注目されたが、いまは「肉体的にもDNAをもらっている。思考も価値観も性格も、体の癖も似てくる」と自然体で受け止める。

「ブラッサム」には、千代さんが愛した桜と「咲き誇れ私」の思いが込められている。「『私も咲き誇れる』と思ってもらえる作品になってほしい」。珠を演じる日々が「今後生きていく上でものすごいパワーになってくれる」と語り、「確信は200%」と言い切った。「過程の時間が、すでに咲き誇っている」。言葉に手応えがにじむ。【松浦隆司】

◆石橋静河(いしばし・しずか)1994年(平6)7月8日、東京都生まれ。4歳からバレエを始め、海外留学を経験。13年に帰国し、コンテンポラリーダンサーとして活動後、15年に舞台「銀河鉄道の夜」で女優デビュー。映画「夜空はいつでも最高密度の青色だ」で池松壮亮とダブル主演。NHK「半分、青い。」に出演。父は石橋凌、母は原田美枝子、姉はシンガー・ソングライターの優河(ゆうが)。163センチ。

◆「ブラッサム」 山口県出身の作家・宇野千代をモデルに、明治、大正、昭和を生き抜く葉野珠の波瀾(はらん)万丈の人生を描く。主人公を石橋静河、高齢期を加賀まりこが演じる。戦争や借金、結婚と離婚を乗り越え、作家の道を自ら開く。テーマは「咲き誇れ私」。脚本は櫻井剛、小松與志子。主題歌「咲き誇れ」はYOASOBIが担当し、原作小説は綿矢りさが書き下ろした。朝ドラ第115作。