役所広司(70)が、22日から配信のNetflixシリーズ「俺のこと、なんか言ってた?」に主演し、誰からも知られていた中、世界から忘れ去られた大俳優が、エキストラから頂点を目指す姿を演じた。ホームレスやバイト先のサウナの熱波師、時代劇俳優など“7変化”とも言える多彩なキャラクターを演じ、劇中劇ながら23年ぶりに舞台での演技も披露。濵田雅功名義で出演したダウンタウン浜田雅功(63)との初共演と、挑戦の連続だった作品を語った。

役所が演じた高瀬川玄は、英国で「リア王」の公演を成功させたが、アジアで発生したパンデミックで帰国できず、2年後に帰国も家族からも忘れられ名声、自宅、富まで失う。承認欲求の塊だったが、女性関係やハラスメントの過去を反省し、新たに出会った仲間の協力を得て再起を図る。

「リア王」は世界的に有名なロンドンのグローブ座、無名の俳優「田中卓」として主演した「誰も知らない大物俳優」は下北沢のザ・スズナリと、実在の劇場で撮影。03年「ふたたびの恋」以来の舞台で「観客の反応によって助けられている感覚を思い出しました。僕は、お客さんと自分の映画を見ることも、ほとんどないから、久しぶりに自分が演じていることへのリアクションを肌で感じました」と感慨を口にした。

エキストラで撮影に参加した地下鉄の改札を通るシーンで普通に演じるよう指示されたが、できずに苦悩する場面がある。台本を読んだ時に、同じ事務所に所属した田中邦衛さんの主演ドラマで、1シーンだけあったセリフを交換する場面で、1行から2行にセリフが増え、NGを出したことを思いだしたという。「邦さんに『あがるところじゃないだろ』と言われたら、ますますあがって、パニックになって悔しかった」と当時を思い起こしたことも、真に迫ったエキストラ像につながったようだ。

かつて高瀬川が共演時に下に見ていたが、忘れ去られた時点で売れっ子になっていた俳優・壬生大也を演じた濵田には、共演前「浜ちゃんはコメディーに関しては厳しいことを言うんだろう」とイメージを持っていたという。「お笑い界のレジェンドですから『俺は、こんなこと、やってらんないよ!』と言い出すんじゃないかと、ハラハラしていました」と振り返る。

濵田も、役所との共演を「ノリでパッとやったようなことも受け入れてくれて。ありがたかったです」と振り返ったが、実態は違ったという。役所は「一俳優として撮影に臨んでくれたことが、とてもうれしかった。アドリブはなくて、ちゃんと台本通りにやってくれていました。とても真摯(しんし)でした」と評した。その上で「脚本の力じゃないですか? 浜ちゃんが読んでも、これを、そのままやれば面白いと思えたんじゃないですかね」と、宮藤官九郎(56)の脚本の力だと強調した。

「俺のこと-」の撮影中に、本物のエキストラからTBS系で放送中の「VIVANT」(日曜午後9時)の撮影と勘違いされるなど、出演作は重要な役が相次ぐ。今後について聞くと「古希だからね。じいさんの出るドラマが増えると良いですね」と言い、笑った。【村上幸将】