千葉県浦安市で放火とみられる不審火が相次いでいる。大型連休中からマンションの駐輪場でバイクなどが燃やされる事件が3件立て続けに起きた。

私が出演しているTBS系「ひるおび」でも5月16日に事件を取り上げたが、2日後の18日、第3現場と同じ駐輪場で不審火が起き、さらに21日深夜には約500メートル離れた別のマンション駐輪場でバイクと自転車が焼かれる5件目が起きた。

市民にとって、夜間、どこに火をつけられるかわからない放火事件への不安は大変なストレスになる。

そんなとき、2013年、愛知県安城市で23件も起きた連続放火事件と、当時の東海テレビ取材班の見事なスクープを思い出した。

10年前の3月、県営団地を取り囲むようにして連続放火事件が発生。最初は稲わらなどだったが、やがて民家に及び、4月半ばには事件現場のまん中に当たる県営団地の駐輪場が夜間、相次いで放火された。

私も取材班と一緒に現地に足を運んだが、現場の記者の感触は、民家などに放火した犯人がついに団地に入り込んだのではなく、団地内にいる犯人が周辺の町内会の警戒が厳しくなったため、犯行直後に自室に戻れる団地内に放火したのではないかというものだった。

そこで取材班が自治会の夜警団に密着すると、1週間後、団地の踊り場で古タイヤが燃え、直後に警官が団地の一室に逃げ込んだ男を逮捕。取材班の見事なスクープとなった。警察も同じ見立てをしていたのだ。

浦安の犯人もまた、犯行直後に逃げ込める部屋がある当初のマンションにいるのではないか。ふと、そんな思いがわいてくる。

◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)ジャーナリスト。TBS系「ひるおび」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。