民間組織「人口戦略会議」は東京都内で24日に開いたシンポジウムで、将来的に「消滅の可能性がある」と見なした744市町村の一覧を公表した。2020~50年の30年間で、子どもを産む中心世代の20~30代女性が50%以上減るとの推計が根拠で、全体の40%超に当たる。都道府県別では0~96%まで割合にばらつきがあった。人口減少の深刻さを示し、行政や民間の対策を促す狙いがある。

「消滅」は人口減少が進み、自治体運営が立ちゆかなくなる状況を指す。人口戦略会議副議長の増田寛也日本郵政社長が座長を務めた「日本創成会議」は14年、同様の根拠で、消滅可能性がある896自治体を公表した。

戦略会議は報告書で「14年に比べ改善が見られる」と評価したものの、主な要因は外国人住民の増加だとして「少子化基調は変わっていない」と警鐘を鳴らした。

市区町村数に占める消滅可能性の割合を都道府県別に見ると、秋田96%がトップで、青森88%、山形80%が続いた。低いのは沖縄0%、東京3%、滋賀11%だった。

このほか別の指標を組み合わせ、1729市区町村を大きく4分類した。内訳は消滅可能性744のほか、100年後も若年女性が多い「自立持続可能性自治体」65、人口流入が多いものの出生率が低い「ブラックホール型自治体」25、いずれにも該当しない「その他」895。

必要な対策は分類によって異なる。増田氏は、消滅可能性に多い小規模自治体では、若者らの雇用の場を創出する必要があると指摘した。ブラックホール型には、働き方の見直しで男性の家事・育児参加を促し、出生率低下に歯止めをかけるよう求めた。

女性が50%以上減る自治体は、23年12月に国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が発表した地域別将来推計人口に基づく。14年に採用した独自のデータ処理は、社人研の推計方法が変化したとして見送った。(共同)