頸(けい)動脈疾患の患者257人の血管にできたプラーク(塊)を切除して分析したところ、6割から直径5ミリ以下の「マイクロプラスチック」などの微小プラが検出されたと、イタリアなどの研究チームが24日までに発表した。検出されたグループは検出されなかったグループに比べ、脳卒中や心筋梗塞を発症したり、何らかの原因で死亡したりするリスクが4倍超だった。

微小プラが人の体内で検出される事例が国内外で相次いで報告されているが、健康影響についてはよく分かっていない。チームは取材に対し、今回が微小プラと疾患との関連を示唆する「初めての研究」だとしている。

包装容器などに使われたプラスチックがごみとして海や川に流れ、劣化して微小プラが発生。食事などの際に体内に取り込まれているとみられる。プラごみ汚染を規制する条約策定に向けた政府間交渉委員会が23日、カナダの首都オタワで始まった。11~12月の次回会合で目指す条約案合意に道筋を付けられるかどうかが焦点。

チームによると、頸動脈狭窄(きょうさく)症で治療中の18~75歳の無症状患者257人を調査。脳梗塞などの原因にもなる血管の塊を切除して分析すると、58%の150人からマイクロプラスチックや、直径千分の1ミリ以下とさらに小さい「ナノプラスチック」が検出された。素材はポリエチレンとポリ塩化ビニールの2種類。炎症に関わるタンパク質の量が多い傾向も確認された。患者を約3年間追跡し、脳卒中などとの関連も調べた。

研究では微小プラと疾患との因果関係は明らかになっていない。米医学誌に3月、掲載された。(共同)