フェイスブック(FB)などの交流サイト(SNS)で衣料品販売大手ZOZO創業者の前澤友作氏ら著名人に成り済ました人物の投資広告で金銭をだまし取られたのは、広告の内容が真実かどうかの調査を怠ったからだとして、神戸市や東京都などの被害を受けた男女4人が25日、SNSを運営する米IT大手メタ(旧フェイスブック)の日本法人に計約2300万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。

原告側弁護団によると、SNSの詐欺広告被害を巡り、運営企業側に賠償を求める訴訟は初とみられる。他にも同様の被害相談があるといい、今後追加提訴も検討すると明らかにした。

前澤氏や実業家の堀江貴文氏ら著名人の画像を無断利用した偽の広告などによる「SNS型投資詐欺」は全国で相次いでおり、警察庁によると昨年1年間の被害額は約277億9000万円に上る。政府は6月をめどに総合的な犯罪対策プランを策定する方針で、メタなどSNS運営企業側は実効性のある対策が求められそうだ。

訴状などによると、4人は昨年8~10月、フェイスブックやインスタグラムで、前澤氏やインターネット掲示板「2ちゃんねる」開設者の西村博之氏らをかたる偽の投資広告を閲覧。LINE(ライン)上でアシスタントを名乗る人物らから投資グループに誘導され、外国為替証拠金取引(FX)投資を勧誘され指定された口座に現金を振り込んだ。

原告側は、虚偽の広告をSNSに掲載することで利用者に不測の損害を及ぼす恐れを予見し、内容の真実性を調査確認する義務があったのに怠り、広告料収入を得て掲載したと主張している。

提訴後に神戸市内で記者会見した国府泰道弁護団長は「メタ側が詐欺広告のチェックができていない甘さがあり、もっと早く対策していれば被害は生じなかった」と指摘した。メタ社側の広報担当者は「個別事案については回答を差し控える」とコメントした。(共同)