将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が7日、大阪市の関西将棋会館で指された上州YAMADAチャレンジ杯トーナメントで1日に3連勝し、22連勝(92年)の羽生善治3冠(46)を一気に抜く23連勝を達成した。23連勝は歴代単独3位。歴代最長の28連勝も射程にとらえた。

 勢いはとどまるところを知らない。同トーナメントは持ち時間各20分の早指し棋戦。この日、1局目で都成竜馬四段に快勝し、2局目では阪口悟五段のミスもあり、際どい勝利をモノにした。3局目では宮本広志五段を連破し、一気に3連勝を飾った。都成四段は「隙らしい隙が全くなかった」と舌を巻いた。

 ついに羽生3冠を超えた。5歳で将棋を始めた藤井四段にとっては特別な存在だ。羽生超えに「一局一局という気持ちで指してきました。ここまでくることができたのは驚きです。うれしいです」。この日は珍しく「うれしい」を連発した。

 羽生3冠も早指し棋戦は強い。かなりの集中力が求められる。藤井四段は4歳のとき、父正史さん(49)からプレゼントされたスイス製の立体パズル「キュボロ」にはまった。空中に立体迷路を作って、ビー玉を走らせる知育玩具。母裕子さん(47)は「1人で何時間でもいろいろなパターンを作り続けた。やり始めたらとことんやる。その集中力は最初からありました」。この日は棋士室で詰め将棋を解きながら集中力を高めた。

 将棋界で30年破られていない神谷広志八段の最多連勝記録「28」。このまま勝ち続ければ、21日の王将戦でその大記録と並ぶ。次の対局は10日で、叡王戦予選で梶浦宏孝四段と対戦する。天才棋士は「気を引き締めて臨みたいです」。勝ち進めば同日に最大2対局を行う。天才棋士の連勝が止まらない。【松浦隆司】