東京から「北見文化」を発信する-。平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)カーリング日本女子の躍進を受けて、都内の「北見焼き肉店」が人気だ。LS北見の拠点、北海道北見市の焼き肉を都内で唯一提供する「オホーツク北見焼肉のっけ」では23日、大勢の客が訪れた。

 JR高円寺駅から徒歩2分。約12平方メートルの狭い店内に入ると、客が肩を寄せ合いながらしちりんで牛サガリ(内蔵)を焼いていた。テーブルには塩コショウや話題の銘菓「赤いサイロ」。メニューには「キタミントハイボール」など北見ならではのものが並ぶ。壁にはLS北見、藤沢五月(26)のサインが飾られ、記念撮影する客の姿もあった。

 店主の望月利一さん(58)は「『そだねー』は気にならないけど、LS北見のおかげで認知度は高まった。昨日は『赤いサイロ売ってますか?』という問い合わせまでありましたよ」と反響の大きさに笑った。

 東京都出身。18歳の時、北見市の飲食店や旅館で料理を学んだ。その後、都内でイタリア料理店を25年経営したが、年齢を重ねるにつれて「北見に恩返しをしたい」という気持ちが強まり、15年5月に同店をオープン。北見産の肉や特製だれを週2回、空輸で取り寄せ、都内に住む北見出身者の“憩いの場”ともなった。五輪期間中は、客が焼き肉とカーリング観戦目当てに訪れ、LS北見には感謝の気持ちしかない。「もちろん、メダルは取ってもらいたいけど、ここまで北見を全国的に広めてくれて本当にすごい。選手には飲み食い放題で御礼したい」。

 北見市は「カーリングの街」として有名だが、「焼き肉の街」でもある。約12万人の人口に対して焼き肉店が約70店ある。道内で人口に対しての焼き肉店の割合が最も高く、毎年2月に氷点下の中で行われる「厳寒焼き肉まつり」も人気だ。望月さんは言う。「カーリングの次は焼き肉の番。東京から北見文化を発信して、多くの人に北見を訪れてもらいたい」。