韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は29日、安倍晋三首相との電話会談で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が27日の南北首脳会談の際、「いつでも日本と対話を行う用意がある」と述べたことを伝えた。

<コリア・レポートの辺真一編集長の目>

 正恩氏の「対話を行う用意」というのは、16年に中止されていた拉致問題再調査の最終報告の伝達ということだろう。北朝鮮の核実験などを受けて日本が同年に独自制裁を強化した結果、北朝鮮が調査を中止、調査委も解体していた。ただ、北朝鮮は調査終了という立場だろうし、日朝会談となれば、北朝鮮は最終報告を握って席につき、完全で不可逆的な解決にしたいと思うだろう。

 日本の情報と相反したり、望む回答でなかった時、それを受け取るか。受け取ったら、それまでになる恐れもある。トランプ米大統領は核問題で、自身の説得でもだめなら席を立つ覚悟で直接会談に臨むとしている。拉致問題を他国の首脳に言及してもらっても、何も進まない。北朝鮮から泣きついてくることもない。被害者も家族も高齢化している。何もしないより、安倍首相が直接会って、正恩氏を説得することが重要だ。