東日本大震災の被災地で、巨大な芸術作品が展示された。福島県浪江町の浪江青年会議所(JC)は14日、震災後に中断していた「標葉(しねは)祭り」を8年ぶりに復活させ、浪江町役場周辺で開催した。明治時代に標葉郡(現在は双葉郡の一部)に属した浪江町、双葉町、大熊町、葛尾(かつらお)村の名物や特産品に親しむ催し。数々のステージイベントや出店ブースを設け、東京電力福島第1原発事故で避難を強いられた人々が楽しんだ。

 浪江町は住民登録の約5%の約850人、葛尾村は約2割の約300人の居住者にとどまり、帰還が進まない。福島第1原発が立地する双葉町と大熊町では、全町避難が続く。浪江町に戻った83歳男性は「店が少ないから、原町(福島県南相馬市)のスーパーまで行っている。これじゃ人口は増えない」とぼやいた。浪江町の吉田数博町長は標葉祭りであいさつし、「皆さんがいつでも帰れるように、職員一同、環境整備に努めている」と話した。