東京オリンピック(五輪)の聖火が「瞬間移動」する? 東京都は17日、20年東京五輪のための第3回聖火リレー実行委員会を開催。島しょ部を効率よく移動するため、移動元の聖火を消すと同時に移動先で点火させる「瞬間移動方式」が検討されていることが明らかになった。

東京都の聖火リレーは20年7月10日に都内で出発式を行い、その後15日間で全62区市町村を回る。この日の会議では、その回る順番を決定。今後は詳細ルートや移動方法を詰める。課題となるのが、島しょ部の移動。「リレーなのだから手渡しで」という意見もあったが、効率を考えれば「瞬間移動」も必要になる。

特に定期航路で24時間かかる小笠原村への移動は難度が高い。空港はなく、ヘリコプターも本土から1000キロ以上で無理。自衛隊機などで硫黄島へ運び、そこからヘリコプターという手もあるが、時間やコスト面から現実的ではない。さらに、島しょ部には天候悪化で航路や空路に影響が出るリスクもある。ギリギリのスケジュールで「欠航」になれば、全区市町村を回ることが不可能になる。

国際オリンピック委員会(IOC)は分火して複数ルートで同時にリレーをすることは認めていないが、聖火から「種火」をとるのはOK。これを先に移動させておき、移動元が消えたと同時に点火する。東京五輪マスコットの「ミライトワ」も瞬間移動が特技、瞬間移動そのものがリレーのハイライトにもなる。

実行委は年内に東京大会組織委員会に素案を提出する予定。大会組織委員会やIOCとの調整も必要になるが、東京都が掲げる「全62区市町村をリレー」実現には島しょ部のスムーズな移動が最大のカギになる。全国のルートが決定するのは来年夏。開催都市・東京のリレーが成功するかどうかは「瞬間移動」にかかっている。