川崎市多摩区登戸新町の小田急線登戸駅周辺で28日午前7時40分ごろ、同区の私立カリタス小学校のスクールバスを待っていた児童ら19人が刃物を持った男に次々と刺され、小学6年の栗林華子さん(11)と別の児童の父親の小山智史さん(39)が死亡した。

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教育評論家の尾木直樹氏 本当に痛ましい事件が起こってしまった。国民の意識が交通事故の方に注がれ、通学路の安全確保に地域ぐるみで取り組んでいる中、虚をつかれたという思いです。学校側に落ち度はないと思います。駅から歩いて5、6分の距離でもスクールバスを8往復し、教員も輪番でついていた。これ以上の安全策はなく、防ぎようがない。

子供たちだけでガードレールもない道を行列で歩かせる集団登校ほど危険なものはなく、文科省が登下校の安全を確保する有効策としてスクールバスの導入を推奨していた矢先の事件。今回はかなりレアケースだと思います。米国では止まっているスクールバスを追い越すと赤信号無視と同列で処罰されるほど子ども優先。スクールバスへの認識は日本はまだまだです。

心配なのは、1年生を含めた子供たちのトラウマ。心のケアのほか、保護者に家庭でのケアの仕方を教えることも重要です。3日以内にメンタルサポートを徹底するべき。01年に池田小で起きた事件では、事件3日後には専門家と担任がペアを組んで家庭訪問をし、きめ細かな対応をしました。今回も子どもを守ってほしいというのが切実な願いです。