失言で五輪担当相を辞任して以来、公の場に現れず「党本部から『マイクを持たせるな』と言われているらしい」とうわさされていた桜田義孝衆院議員(69)が17日、千葉選挙区の自民党候補の応援で街頭に立った。「先生、短めでお願いします」とクギを刺されながら5分間の桜田節。写真撮影を求める女性、若者が相次ぎ、候補者や応援に入った河野太郎外相をはるかに上回る人気ぶりだった。

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桜田氏が柏駅東口でビラを配り始めると、ウグイス嬢が「皆さま、おなじみの桜田義孝衆院議員がビラを配っています」とアナウンスした。女性や若者が「写真撮ってもいいですか」と近づくと、親指を立てたサムズアップのポーズで記念撮影。「応援してます。頑張って下さい」と次々と声をかけられるその人気に、ウグイス嬢はたまらず「候補者とも写真をお願い申し上げます」と悲鳴を上げた。

昨年10月の五輪相就任以来、数々の失言で世間の話題をさらってきた。しかし、今年4月、自民党の高橋比奈子衆院議員のパーティーでの「復興以上に大事なのは高橋さん」発言が決定打となって辞任。自民党千葉県連会長も6月に退任し、姿が全く見えなくなっていた。永田町に流れる「党本部からストップがかかっている」「自粛している」といううわさ。直撃すると「自粛なんてとんでもない。書物を読みながら静かに過ごすとか、やったことないもの。オレには似合わないよ。お呼びがないだけで、オレが行って評判が悪くなったり、票を減らしちゃったらしょうがないから」と照れ笑いした。

桜田氏の地元(千葉8区)は柏市と我孫子市。公示以来、自民党の2候補はなぜか両市に入らず、選挙戦14日目にして、初の街頭になったのだという。大トリの河野外相ら9人の演説が予定される中、桜田氏の順番は地元市長や県議より早い1番目。しかも「先生、短めでよろしくお願いします」とくぎまで刺された。前座のような扱いだったが、予定(3分)よりやや長い4分50秒の演説を失言なく終え、「地元選出衆院議員桜田義孝からのお願いでございます」と頭を下げた。

選挙カーを下りた桜田氏に前座扱いについて聞くと、「(演説は)最初だから聞いてくれるんだよ。4番目や5番目なんて聞いてないから。『開会あいさつの次にやらせろ』と注文したの」と笑って否定した。

今日18日は菅義偉官房長官が柏に入る。特設ステージなどすべて桜田氏創業の桜田建設が準備する。「企画・制作プロデューサーは私。経費も私(笑い)。選挙になると生き生きする。自分の選挙は人がやってくれるけど、人の選挙は自分がやんなきゃなんない。オレがやめちゃって、落とすわけにはいかないからね」。自粛どころか、ノリノリだった。【中嶋文明】