ネスレ日本は1日、都内で会見を行い、9月下旬の出荷分より主力商品であるチョコレート菓子「キットカット」の大袋タイプ5品の外装を、プラスチックから紙パッケージに変えると、発表した。1973年(昭48)の発売以来、初めての英断だ。業界初の試みという。これにより、年間生産量の3割程度に相当する、約380トンのプラスチック削減を見込んでいる。

会見で高岡浩三代表取締役社長兼CEO(59)は、「コストは高くなるが、廃棄物のない未来を目指しての取り組み」と、力説した。同社では5~6年前から、プラスチックゴミ問題に携わってきた。昨年4月、「2025年までに包装材料を100%リサイクル可能、あるいはリユース可能にする」と宣言している。それを具現化した。

プラスチックゴミ問題はここ数年。世界中での課題となっている。昨年7月に米大手コーヒーチェーンのスターバックスが、「2020年までにプラスチック製のストローを世界中の店舗で全廃する」と発表した。国内でも飲食チェーン、ファミリーレストラン、ホテルなどが次々と同調している。スーパーなどの小売業界でもレジ袋を有料化し、削減へ対応している。

今年6月に大阪市で開催されたG20でも、「2050年までに海洋汚染ゼロを目指す」との首脳宣言が採択された。

「トップ企業としてあと100年、200年と活動を続けていくためには、単に利益を伸ばせばいいというわけではなく、メーカーの社会的責任が求められている」(高岡社長)。当然、来年の東京五輪・パラリンピックも意識する。環境に先進的な考えを持ち、「キットカット」の国内購買シェアの10~15%を占める外国人にも訴える。

また、「キットカット」に関してトップは、「技術を改良し、2~3年で個包装も紙に変えるか、水溶性プラスチックに変える計画がある」とも明らかにした。