会社法違反(特別背任)などで起訴された日産の前会長カルロス・ゴーン被告(65)の弁護団の弘中惇一郎弁護士(74)河津博史弁護士、小佐々奨弁護士が11日、都内の日本外国特派員協会で会見を開いた。弘中弁護士は「ゴーンさんが無罪であることを確信しているが、逮捕、起訴は、ゴーンさんを追い出すために日産がたくらみ、検察が行った違法なもの。裁判自体が無効でゴーンさんを開放すべき」と主張した。

ゴーン被告は、18年11月19日に役員報酬を有価証券報告書に少なく記載したとして金融商品取引法違反のの疑いで、同12月21日には08年に資産管理会社と新生銀行との間で「スワップ取引」を契約した中、契約者を日産に変更し、約18億5000万円の評価損を付け替えた、特別背任容疑で再逮捕された。

弘中弁護士は、10月24日に公判前整理手続きが行われた際、2つの書面を提出したと説明。その上で「日産はゴーンさんを追い出すために(社内に)不正にチームを作り、逮捕できるものを探しただけ。逮捕するために検察が動いたものではありません。根本的に刑事事件として問題がある、違法なもの」と、日産がゴーン被告を追い出すために、社内にチームまで作ったと批判した。

さらに「検察は公益のために活動するものであって、日産という企業のために活動するのは間違っている。その結果、捜査の手続きにもさまざまな違法がある」と検察も批判。「海外では検察の捜査権力が及ばないので、日産の社員を使ってゴーンさんの関係する建物から、さまざまなものを持ち出した」と検察が日産の社員まで使って、捜査をしたと主張した。

弘中弁護士は「今回は、司法取引が日本で行われた初めてのケースとされるが、本来の目的と違い、日産が社員に命令して司法取引に応じさせた。検察はゴーンさんの評判を落とすため、メディアに不利な情報をリークし、さまざまな間違った情報を書かせた」と、検察側がメディアにリークしたとも主張した。

弘中弁護士は、控訴棄却の申し立てを2つの事件についてしているとした上で、それぞれの公訴事実についても「ゴーンさんは無罪」と断言。その上で、最初に逮捕された金融商品取引法(金商法)の事件について「未払いの役員報酬という事実はない。契約書、議事録に未払い報酬は一切、記載されていない。会社の中でもゴーンに対して未払い報酬があると思っていた人はいなかった。実際、未払い報酬なるものは1銭も払われていないし、請求もしていない。金融商品取引法(金商法)事件は明らかに無罪」と訴えた。

また会社法違反(特別背任)の事件についても「スワップ契約に関し、一時的に当事者を日産に付け替えたのが特別背任とされている。調べてみると、会社に損害を与える可能性はない。現実に日産は何の損害も受けていない。無罪」と、繰り返して無罪を主張した。【村上幸将】