学校法人瓜生山(うりゅうやま)学園は4月1日、京都造形芸術大学(京都市左京区)を「京都芸術大学」に名称変更した。この変更をめぐっては、「京芸」「京都芸大」などと呼ばれている京都市立芸術大学(京都市西京区)が大きな混乱を招くなどとして、「京都芸術大学」の名称使用の差し止めを求める訴訟を大阪地裁に起こし、現在も係争中。市立側はこの日、赤松玉女理事長が「残念。司法の場で結論が出ていない名称を認知、使用するわけにはいかない」などの声明を出した。

瓜生山学園側はこの日、尾池和夫学長名で「将来構想で示しておりました通り、本学の教育内容や活動に相応しい大学名称として、京都芸術大学への名称変更を行いました。急激に変化する社会に向け、本学が担うべき役割は何かと問い続け、「京都文藝復興」「藝術立国」の理念の実現を目指し、さらなる教育・研究・社会貢献活動に取り組んでいきたいと考えております」などと発表した。ホームーページの表記も「学校法人瓜生山学園 京都芸術大学 旧名称京都造形芸術大学」とした。

学園は昨年8月、大学開学30周年記念事業の一環として「グランドデザイン」と校名変更を発表。「略称としては『瓜芸(うりげい)』『KUA(ケーユーエー)』を使用し、『京芸』『京都芸大』は使用いたしません。公立大学法人『京都市立芸術大学』とは異なる大学です」と注意書きを添えていた。

これに対し市立側は「当該名称は本学の名称や一般に通用している略称と同一あるいは酷似しているため、大きな混乱を招くと大変危惧」と主張し、「京都芸術大学」を使わないよう強く求めた。京都市長や地元有力紙も、学園側に再考を求めた。

両者はともに商標登録出願するなど平行線が続き、9月に市立側が訴訟を起こした。2月に第2回の弁論準備手続きが行われ、第3回が4月16日に予定されている。

一貫して同名称の使用中止を求めている市立の赤松理事長はこの日以下の趣旨の声明を発表した。「裁判所で係争中にもかかわらずこうした事態になったことについて、残念でなりません」とし、先方の名称については「本学では司法判断が下されるまで『旧京都造形芸術大学』と記すことといたします。関係する皆様には大変失礼なことになりますが、私たちは司法の場で結論が出ていない名称を認知、使用するわけにはまいりません」。合わせて「こうした事態ではありますが、両大学間の交流、研究や教育の連携などはこれまで同様に活発に行われることを願っています」とした。