千葉県館山市は23日、ZOZO創業者でスタートトゥデイ社長の前澤友作氏(44)が19年、同市にふるさと納税をして寄付した寄付金20億円を「館山観光振興基金」に積み立てていたが、新たに「前澤友作館山応援基金」を設立し、全額を積み替えると発表した。

その上で、感染が拡大する新型コロナウイルス対策として、総額3億6000万円規模の新型コロナウイルス感染症に対する緊急経済対策を実施すると明らかにした。

館山市は同基金の設置目的として、同市の観光振興に加え、新型コロナウイルス感染症対策にかかる地域産業を下支えする事業者の保護を挙げ、同市独自の緊急経済対策を実施するとした。具体的には、融資返済元金への助成など、全国の地方自治体がモデルケースとして活用できる市独自の取り組みを行うとした。

<1>市制度融資の利子及び保証料の補給並びに返済元金助成事業 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、1カ月の売上高が前年同月と比較して5%以上減少している中小企業者等に対して、運転資金や設備投資のために事業者が受ける融資の利子及び保証料の全額給付並びに返済元金の10%の助成を実施する。

<2>中小企業等事業所家賃支援事業 新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい経営状況におかれている中小企業等を緊急的に救済するため、店舗や事務所等を賃借している中小企業等が、千葉県の中小企業等への支援金を受けた場合、市が10万円を上乗せ支援することで、中小企業等の固定経費の削減を図る。

金丸謙一市長は、「館山市は昨年の台風災害もあり、観光業のみならず市内の経済活動は大きく停滞している中で、前澤氏の寄付があるからといって館山市だけが助かるのではなく、全国的なモデルケースとなる対策を実施したいと考えた」と語った。その上で「融資における返済元金への助成は調べた限り前例がなく、この取り組みの成果が出れば国から地方創生臨時交付金が支給された時のモデルとなるのではないかと思っている。この寄付を改めて館山市をあげて感謝するとともに、今後とも前澤氏と相談しながら館山市の観光振興、経済対策事業を考えていきたい」と語った。

前澤友作館山応援基金の設立、緊急経済対策にかかる補正予算の成立は、28日の館山市議会臨時議会での議決を得て確定する。