東京都知事選(7月5日投開票)で、新型コロナウイルス感染拡大で1年延期された東京オリンピック(五輪)・パラリンピック開催についてが、争点の1つとなっている。主要候補のうち、れいわ新選組の山本太郎代表(45)、元日弁連会長宇都宮健児氏(73)、元熊本県副知事小野泰輔氏(46)らは中止もしくは延期を訴えている。

五輪延期や中止は都知事の権限で、都が決められるものなのか。早稲田大スポーツ科学学術院准教授で弁護士の松本泰介氏(39)は「開催都市契約を前提に、中止を決めるケースは2つある」と話す。<1>契約成立で法的拘束力が発生するため、内容変更は国際オリンピック委員会(IOC)、大会組織委員会、都の合意で決める、<2>開催都市契約第66条に基づき、IOCが他の2者(組織委、都)の合意がなく、中止できるもの、とした。

松本氏は都が一方的に中止する場合について「契約違反になり、損害賠償の対象となります。これまでIOCや組織委が掛けてきた膨大な費用を都がかぶることが前提となる。都が一方的に中止する選択肢は基本的にないと思う」と話す。

開催都市契約に延期に関する規定はないが、24年への延期については「24年に五輪を開催するパリとIOCが開催都市契約を締結しているので、東京が24年に開催する余地はない」と指摘。一方、現職の小池百合子氏(67)は「簡素化し、都民の理解が得られる形で進める」としているが、松本氏は「簡素化はIOCと組織委、都が方針として打ち出したことなので、契約の範囲内」とみている。【近藤由美子】