「あおり運転」などの妨害運転を「動かぬ証拠」として「動画」で記録する車載用ドライブレコーダー(ドラレコ)が、売り上げを伸ばしている。6月30日から改正道交法が施行され、罰則は最高で5年以下の懲役または100万円以下の罰金、免許は即取り消しとなり、再取得できない欠格期間3年と厳罰化された。

コロナ禍で消費が冷え込む中でも厳罰化を追い風にドラレコが売れている。自動車用品販売の大手オートバックスでは「今月26日の時点で、すでに売り上げは前年同月比140%に増えています」(同社広報部)。ドラレコは本体購入と、同時に取り付け作業を販売店で行う場合が多く、新型コロナウイルスの影響で一時、客足が遠のいた。「4月~5月は前年比60%以下まで落ち込んだが、道交法改正後は売り上げが回復しています」(同社広報部)と、V字回復した。ドライブレコーダー協議会(JDRC)が公表する出荷ベースでも今年1月から6月までに約183万台と右肩上がりを続けている。

コロナ禍の今夏は感染リスクを避けるため、公共交通機関から自動車に切り替えて家族旅行というケースが増えそうだ。各地で「あおり運転」などのトラブル増も懸念される。ドラレコ映像はこの日、初公判が開かれた昨年8月、茨城・常磐自動車道での、あおり殴打事件でも物的証拠とされた。「あおり運転の被害者だけでなく、加害者と認定されないよう、自分の運転が正当であることを証明するためにも必要」というドライバーも増えており、交通トラブル回避の定番商品となりそうだ。【大上悟】