京都市立芸術大学(西京区)が、京都造形大学の名称を「京都芸術大学」に変更した学校法人瓜生山(うりゅうやま)学園(左京区)に対し、名称の使用差し止めを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(杉浦正樹裁判長)は27日、市立芸大の請求を棄却した。瓜生山学園が京都芸術大学に名称変更することを認めた形だ。

騒動は昨年8月に始まった。瓜生山学園が、21年の開学30周年に向け幅広い芸術の教育研究に取り組むためにふさわしい名称として京都芸術大学に変更すると発表。日本で最も長い歴史を持つ芸術系学校の市立芸大が、市民らから長年「京都芸大」「京芸」「市芸」などと呼ばれて親しまれており、大きな混乱を招くと反発。昨年9月に類似表示の使用を禁じた不正競争防止法に違反すると主張して提訴し、審理されてきた。今年4月には瓜生山学園が予定通り、京都芸術大学に変更していた。

判決では「京都芸術大学」「京都芸大」「京芸」などの名称や略称が、社会の中で市立芸大をどの程度連想させるか、浸透しているかが争点となった。判決では、市立芸大が著名と主張した名称や略称について、著名とはいえないと指摘。また他の大学とは「市立」で識別できるとし、受験生らが、2つの大学を類似のものとして受け取る恐れがあるとはいえないとした。

判決を受け、双方ともコメントを発表。京都芸大側の瓜生山学園・徳山豊理事長は「本日の判決は、本学の主張の正当性が認められた結果であると考えております」。市立芸大側は赤松玉女理事長が「本学の主張が認められなかったことは誠に残念です。今後の対応は、判決文の内容を精査したうえで、検討してまいります」などとした。市立芸大の今後の対応が注目される。【松浦隆司、久保勇人】