安倍内閣の防衛相から菅内閣の行政改革や規制改革の担当相に就任した河野太郎氏(57)が、就任直後から存在感を示した。17日未明の新閣僚会見では、深夜に及ぶ運営を「前例主義。こんなものはさっさとやめたらいい」とバッサリ。菅義偉首相肝いりの「あしき前例主義打破」の象徴で起用されたキーマン。同じ首相指令の「縦割り110番」は、さっそく自身のSNSに開設した。次世代リーダー筆頭格の河野氏。注目を集める言動は、菅政権の浮沈も左右しそうだ。

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河野氏は、多くの国民が寝静まった17日未明、怒っていた。16日深夜から官邸で始まった新閣僚の会見。組閣時の恒例行事だが、午後11時前に始まり20人の閣僚が話し終えたのは17日1時45分ごろ。15番目の河野氏の出番は同1時だった。

河野氏は、「神奈川人脈」で関係が深い菅首相に、行革や規制改革の担当を任された。「突破力」(政府関係者)を見込まれたが、「時間が限られる中、どれくらいのスピードで既存の仕組みを壊すのか」と問われ、これまで誰も指摘しなかった深夜の閣僚会見にかみついた。「スピード感と言うなら、この会見も大臣が各省庁でやれば今ごろ終わってみんな寝てる。前例主義、既得権、権威主義の最たるもの。こんなものはさっさとやめたらいい」。

河野氏は当初、総務相就任が有力視された。菅氏が重視する携帯電話料金引き下げなどに当たるが、最終的には行革担当。自民党内で河野氏の総務相案に「横やり」があったともいわれる。総務相なら、会見の順番は3番目だ。開始時間は河野氏より、2時間近く早かった。

ただ、行革担当は菅首相「直結」といわれ、この日も首相から直接指示された閣僚3人の1人が河野氏。「縦割り110番」設置を直々に指示されていたが、この日、SNSで「行政改革目安箱」の設置を早速表明。「無駄な規制、仕事を妨げている規制、役所の縦割りで困っていること等々、規制に関する情報をお送りください」と、呼び掛けた。河野氏自身がすべて目を通すといい、17日午後には早くも700通の投稿が寄せられたという。河野氏は「目安箱が破裂しそうだが、具体的なものから手を付けたい」と語った。

河野氏は自民党時代、「無駄撲滅プロジェクトチーム(通称ムダボ)」を率いて「コストカッター」と恐れられた人物だ。閣僚会見で見せた切り込みぶりは、菅内閣のキーマンとしての存在感を示す場にもなった。役所も戦々恐々だ。