11月3日投票の米大統領選で劣勢のトランプ大統領が、あらゆる手段を使って巻き返しを図っている。

22日、死去した最高裁のリベラル派判事ギンズバーグ氏の後任を26日に指名すると発表。米国の報道などによると、承認を判断する上院でも多数の共和党で造反が広がらず、過半数で承認される公算が高まった。

9人で構成される最高裁判事は終身制。その構成、判断が、銃規制や人工妊娠中絶、公民権など国論を二分する問題を左右し、米国社会に長年にわたり大きな影響を与えるため、全米が注目している。トランプ氏はこれまで保守派2人を指名。今回も保守派の女性を指名する方針で、実現すれば保守派6人、リベラル派3人となり、一層保守化が進む。

バイデン前副大統領ら民主党は「権力の乱用」と批判し、大統領選の勝者が決めるべきだと訴えて、抵抗している。「RBG」の愛称で国民に親しまれたギンズバーグ氏は亡くなる前「最大の願いは、新しい大統領が決まるまで、私の後任が選ばれないこと」と話したという。埋葬は来週に予定され、トランプ氏は埋葬前に指名することになる。

一方、トランプ氏は22日の国連総会では、激しく中国を攻撃した。ビデオの各国首脳演説で、新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼び「国連はこの疫病を世界に拡散させた中国に責任を取らせなければならない」などと非難。貿易問題などでも中国を批判し、米国第一主義の正当性を強調した。

中国の習近平国家主席は「ウイルスを政治問題化し、汚名を着せることに反対する」などと対抗した。2大国の対立が鮮明になり、国連のグテーレス事務総長は「我々は危険な方向に進んでいる」などと危機感を募らせた。