大阪府池田市の冨田裕樹市長(44)が市役所に家庭用サウナを設置したり、私物を大量に持ち込んだ問題などを調べる市議会調査特別委員会(100条委員会)が4日、開かれた。

サウナ問題以外にも、市議からは新たに「パワハラ疑惑」を追及された。

議場に冨田市長が姿を見せると、傍聴席の市民から「サウナ市長が来たぞ…」のささやきが漏れた。約3時間30分の証人喚問では傍聴席から「またここ(市役所)に泊まるんかいな」と失笑が起こった。

昨年7月に「健康管理のため」として市長の控室に家庭用サウナを設置。同10月にサウナ問題が発覚した。

この日、2回目の証人喚問となった冨田市長は、サウナ設置について腰椎ヘルニアなどスポーツ障害による症状緩和のためだと主張したが、「万人から理解を得られるものではない」と、すでに撤去したと説明し、あらためて謝罪した。

市長控室には冷蔵庫、キャンプ用鍋、パックご飯、ガスボンベなどを持ち込んでいた。「昨年9月から10月、約1カ月で市長控室に17日間に泊まったことに間違いはないか」と問われると、「おおむね間違いない」と認め、公務の記録がない土曜日の宿泊理由について「特別職である以上、普段の月曜から金曜日まで、9時から5時までが公務というわけではない。土日も公務があり、特別職である私が公務であるという認識の仕事をした時点で、それは公務である。事業見直しや調査を自身でするということでも多忙を極めていた」と説明した。

傍聴席からは「そんなことあるかい!」と、突っ込みが入った。

さらに「パワハラ疑惑」についても追及を受けた。同委員会は市役所の職員796人にアンケートを実施。回答があった745人のうち119人が冨田市長から「パワハラを受けた、見た、聞いた」と回答した。「書類投げ疑惑」、「降格人事疑惑」などを報告した。

アンケート結果について冨田市長は「確実性があるものなのか」と疑問を口にし、「具体的にいつだれが、どこで、どのようなことをしたのか。実際に言っていただけなければ答えられない」と反論した。さらに「厚労省が定義するパワーハラスメントがあったことはない。職員に職務上の必要な指導をしたことはある」と主張した。

市議から「女性職員の2人を市長室に呼びつけ、書類を机に投げ捨て、大声で叱責(しっせき)した。1人の女性職員はおびえ、2度と1人では市長室に決裁に行けないほど恐怖を抱いた。これは事実ですか?」との問いに、冨田市長は「何度も申しますが、書類を投げ捨てるようなことはしていません」と“書類投げ捨て疑惑”を否定した。

市議の1人は「民間企業だったらワンマン社長」と指摘した。

メディア関係者に市長控室の冷蔵庫などの画像、動画を提供した“犯人”と“特定”された職員からの証言として「冨田市長の後援会長から市長ともどもメディア関係に動画、画像を提供した職員だと確信している。もし提供者でなければ、その証明をせよ。真犯人捜しをせよ」と迫られたという。

また市議が「犯人扱いされた職員が昨年10月29日午後、後援会会長に呼び出され、会長の事務所で秘密保持契約書をとり交わされたことを知っているか」と問うと、冨田市長は「秘密保持契約を交わしたとは聞いているが、中身に関しては聞いていない」とし、「指示もしていないし、事後に知った」と話した。

閉会直前に冨田市長は「私物の持ち込みにつきましては、適切に設置して、また公務により励める環境は作りたいと思っています。ただこれまで通りサウナを設置したりということは、もちろん差し控えさせていただきます」と強調した。 3月12日に副市長などへの証人喚問が行われる予定。【松浦隆司】