囲碁の最年少プロの仲邑菫二段(12)が1日、東京・市ケ谷「日本棋院東京本院」で中学生最初の対局を白星で飾った。藤沢里菜女流本因坊(22)への挑戦権を目指す、第40期女流本因坊戦本戦トーナメント1回戦で、256手までで吉原由香里六段(47)に白番7目半勝ちした。終局は午後5時6分。「序盤から難しい戦いであんまり良くなかったみたいですが、寄せあたりで少し残るかなと思いました」と振り返る。中学生1勝については、「よいスタートを切れて良かったです」と話した。

この日の昼食は大好きなチンジャオロースの弁当。「勝負メシ」でもある。栄養のバランスを重視して、母親にリクエストした。その成果もあってか、今年に入って14勝2敗と絶好調だ。

3月29日には小学生最後の対局である第47期碁聖戦予選Cで、インドネシア出身で昨年デビューしたフィトラ・ラフィフ・シドキ初段(18)を圧倒した。小学生時代の通算は51勝26敗。「思ったより勝てて良かった」と話したほどだった。

15日には二段に昇段。24日には「女流ティーンエージャー棋士トーナメント戦(非公式戦)」でプロ入り初優勝を決め、賞金50万円を獲得した。「賞金は使わないで残しておきます」と笑う。

5つのある女流のタイトル戦のうち、女流名人戦こそ予選決勝で上野愛咲美女流棋聖(19)に敗れ、本戦入りを逃した。昨年の扇興杯、女流棋聖戦、今年の女流立葵杯はいずれも本戦入りを果たし、着実に力をつけている。この日、女流棋聖2期、女流最強位1位を獲得した吉原を下し、昨年10月の女流棋聖戦に続き、本戦1回戦を突破した。「勝敗より良い内容の碁を打ちたいです」と言う。

女流囲碁界は現在、藤沢が女流本因坊と女流名人、立葵杯を保持。女流棋聖と扇興杯を上野愛が保持し、5つのタイトルを分け合っている。2強を鈴木歩七段(37)謝依旻(しぇい・いみん)六段(31)向井千瑛六段(33)をはじめ、ベテランのタイトル獲得経験者と、進境著しい20代の牛が追う。その先行集団に加われるのか? 2回戦では牛栄子三段(21)と対戦する。「強い棋士なので、思い切って戦いたい」。2回戦が試金石の一戦となる。