東京6大学野球の慶大で主将を務めた猿田和三氏(58)が16日までに、秋田県の副知事に内定したことが分かった。猿田氏は同県の産業労働部長。22日の県議会で同意が得られれば、24日付で就任する。

1963年(昭38)、秋田市生まれの猿田氏は秋田高でも主将で、1学年下で元プロ野球近鉄、巨人などで活躍した石井浩郎参院議員(56)と主軸を形成した。慶大進学後は首位打者1回、ベストナイン2回獲得。当時立大で4番で主将だった長嶋一茂氏(55)とも激しいタイトル争いを繰り広げた強打者だ。

慶大では同じく2浪して入学した鈴木哲氏(57)、大森剛氏(53)らとともに、87年春季リーグと全日本大学野球選手権での優勝に貢献。日米大学野球でも主将として武田一浩氏、長嶋氏、古田敦也氏ら、後にプロ野球に進む選手をまとめた。

大学時代から母校の秋田高を訪れてノックを打つなど、地元愛が強かった。プロ野球のドラフト候補にも挙がりながらも、卒業後は故郷にUターンして秋田県庁に入庁。財政課長や産業労働部次長などを経て、昨年4月に産業労働部長に就任した。

慶大時代の親友で西武球団のチーム戦略グループディレクターの鈴木哲氏は「大学時代から人望が厚く求心力のあるリーダーだった。現職の知事さんの信頼も厚いでしょう。秋田、東北の活性化に尽力してほしい」とエールを送った。

佐竹敬久知事(73)は、「新型コロナ、経済対策のどちらも中心になってやっている。財政もやっているから、生え抜きで抜てきした。若い第一線の職員に頑張ってもらう」と期待している。