「過度の疲労」を理由に入院し、前日1日からテレワークで公務に復帰した小池百合子都知事(68)が2日午後4時、急きょ予定を変更して定例記者会見に出席した。

    ◇    ◇    ◇

東京のために、都民のために。東京都の小池知事は、倒れても何度でも立ち上がる覚悟を言葉にした。

小池氏 東京にとって今ほど重要な時期はないと考えております。都民の命を守って、東京の未来を創るため、総力を挙げて全力で取り組んでいきたい。もしかしたら、どこかでバタッと倒れているかもしれません。それも本望だと思ってやり抜いていきたい。

漫画「あしたのジョー」の主人公・矢吹丈が、「あしたのために」の書き出しで始まる手紙をきっかけにボクシングを始めたように、「東京のために」の思いを口にした。不屈の闘志で立ち上がるジョーのごとく「あしたのユリコ」もダウンを乗り越え、ファイティングポーズをとった。

小池氏は2日、自身の意向で、都庁での定例記者会見中止を覆し、開催、出席を決断。医師の許可も得た。会場の扉が開いて10日ぶりに公の場に姿を見せると、集まった約200人の報道陣や都職員を確認し「わ~、すごい」と入場。ゆっくりと注意を払って歩き、両手を机に置いて体を支えるように慎重に着席した。「ふわあ~」と大きなため息をつき、少しつらそうな表情。弱々しい声で記者が身を乗り出して耳を澄ます場面も多かったが、給水をとりながら少しずつ語気が回復する時間もあった。

都は6月22日夜に入院し、同30日に退院と発表。前日1日は自宅からテレワークで会議などの公務に参加した。小池氏は体調に関し「コロナではという質問もありましたが陰性でした。課題の大きさ、毎日迫り来る新しい事象。過度の疲労…体力が十分でなかった」と説明。復帰戦は約35分間。「責任を持って、気力と判断力を研ぎ澄ましながらやっていく決意を新たにしているところです」。都の担当者によると、都民からの応援や激励の電話も鳴りやまなかったと言う。午後3時前に都庁に入り、午後5時19分に退庁。拳…ではなく頭を下げたマスク越しの表情は、少しだけ笑顔だった。【鎌田直秀】