4度目の宇宙長期滞在のミッションを終えた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の野口聡一宇宙飛行士(56)が、9日都内で会見を行った。昨年11月から国際宇宙ステーション(ISS)に約半年間滞在した野口さんは米国でのリハビリを終えて6月中旬に帰国し、新型コロナウイルス対策のため2週間の隔離を終えた。

野口さんは、今回の長期滞在で「15年ぶりの船外活動」と、「初めて3つの異なる方法での帰還」で2つのギネス記録を樹立した。帰還方法は最初がスペースシャトルの滑走路、2番目がソユーズの草原地帯だった。初の民間宇宙飛行船スペースX社のクルードラゴンでは「イルカが泳いでいた海の上だった」と、野口さんは認定証を手に笑顔を見せた。

野口さんらが搭乗したクルードラゴンは再利用され、今秋に民間人4人による初の宇宙飛行を予定している。「ほぼ全自動で運用できるようになっている。宇宙観光用に巨大な天窓を着け、ドーム状のガラスで覆って写真が撮れるのがセールスポイント」と、宇宙旅行時代に期待を込めた。

そして民間宇宙船に「深い知識を持った経験者が乗っているというのは危機回避や安全管理の面でプラス」などとした。その上で「私も、そういう仕事に就くかもしれない。宇宙の民営化、宇宙観光旅行時代に向けて経験者としてかかわっていくのは大いにありえる」と、新時代を見据えた。【大上悟】