菅義偉首相が6日、広島市の平和記念公園で開催された「広島市原爆死没者慰霊式・平和祈念式」のあいさつで事前に用意した原稿の一部を読み飛ばした。

読み飛ばしたのは「核兵器のない世界の実現に向けた努力を着実に積み重ねていくことが重要です」などの部分で、約1ページ分にあたるという。「我が国は、核兵器の非人道性をどの国よりもよく理解する唯一の戦争被爆国」などの、くだりも消えた。式典名の「原爆」の部分を「ゲンパツ」と読み違え、訂正する場面もあった。

慰霊式後に広島市内で行われた記者会見で菅首相は「先ほどの、式典のあいさつの際に一部、読み飛ばしてしまった。この場をお借りして、おわびを申し上げます」と謝罪した。広島市などが求めていたこの日の東京オリンピック(五輪)での黙とうも国際オリンピック委員会(IOC)が対応せず。被害者団体らに失望の声が広がっていたタイミングで、首相が失態を重ねた形となった。【大上悟】