将棋の史上最年少3冠、藤井聡太王位・叡王・棋聖(19)が20日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第80期順位戦B級1組5回戦で、木村一基九段(48)を87手で下した。

13日に豊島将之竜王から叡王を奪取し、史上最年少の19歳1カ月で3冠獲得後、初白星を挙げた。これで順位戦B級1組での対戦成績は4勝1敗。最年少名人への戦いが続く。

戦型は相掛かり。午前はスローペースで進んだが、昼食休憩を挟み、木村が銀との交換で飛車切りを決断。この攻め合いに藤井は真っ向勝負を挑んだ。藤井が優勢を築くと、「千駄ケ谷の受け師」と呼ばれ、受け(守り)を身上とする木村は不屈の精神で耐えしのぎ、巻き返した。夕食休憩後、最終盤に再び藤井が優勢を築き、粘る木村を振り切った。

終局後、藤井は昼食休憩後の攻防について「けっこう厳しい変化が多いので、よく分からなかった。難しいのかなと思っていた」と振り返った。

実力者が名を連ね、「鬼の住処(すみか)」の異名を持つB級1組は13人が所属。総当たりで戦い、上位2人がA級に昇級する。順位戦は最上位のA級からC級2組までの5クラスに分かれて戦い、A級の優勝者が名人挑戦者となる。

藤井が谷川浩司九段(59)が持つ名人獲得の史上最年少記録(21歳2カ月)を更新するには、今期のB級1組を1期で抜け、さらにA級1期目で挑戦権を獲得し、名人のタイトルを奪取する必要がある。

4勝1敗の対戦成績に「まだまだ先は長いですが、一局一局を大事にしてやっていけたらと思っています」と話した。

今後もハードスケジュールが続く。17日に第47期棋王戦本戦トーナメント3回戦で斎藤慎太郎八段に敗れたため、年度内6冠の可能性は消滅したが、竜王、王将のタイトルを奪取すれば、年度内5冠の可能性がある。挑戦を決めている竜王戦7番勝負(10月8日開幕)では竜王を持つ豊島将之竜王と王位戦、叡王戦に続き3度目のタイトル戦を戦う。