将棋の藤井聡太3冠(王位・叡王・棋聖=19)が豊島将之竜王(31)に挑戦する、第34期竜王戦7番勝負第4局が12、13の両日、山口県宇部市・ANAクラウンプラザホテル宇部で行われ、後手の藤井が豊島を破り、開幕から4連勝で竜王を奪取した。

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将棋の8大タイトル戦のうち、7番勝負を行うのは竜王、名人、王位、王将の4棋戦(王座、棋王、叡王、王将の各棋戦は現在5番勝負。叡王戦は過去7番勝負で開催)。4連勝で決まった例は過去竜王戦6回、名人戦12回、王位戦10回、王将戦10回。中でも挑戦者が一気に決めた、将棋界の歴史を彩る交代劇がある。

◆竜王戦 藤井は藤井でも、振り飛車党の藤井猛。1998年(平10)、谷川浩司竜王に自ら考案した「藤井システム」を駆使して、四間飛車で圧倒。タイトル戦初登場にして、初タイトルとなる竜王を獲得した。このまま、99年鈴木大介に4勝1敗、00年羽生善治に4勝3敗と挑戦を退け、3連覇した。

◆名人戦 93年5月、49歳の挑戦者米長邦雄が名人戦挑戦7回目にして、ようやく中原誠名人に4連勝。当時、最新の矢倉囲い「森下システム」を編み出していた森下卓や、弟子の中川大輔ら若手に教えを乞い、最年長で悲願を達成した。名人就位式では、羽生をステージに上げて「次に私の首を取りに来るのはこの男」と宣言。挑戦者として出てきた羽生に94年、2勝4敗で敗れ、羽生は初の名人となった。米長はこれ以降、タイトル戦という大舞台から姿を消した。

◆王位戦 93年8月に羽生が、前年最低段位の四段で王位を獲得した同学年の郷田真隆からタイトルを奪って史上最年少の5冠王(竜王・王位・王座・棋王・棋聖)となった。故大山康晴十五世名人、中原に続く3人目で、22歳11カ月は最年少。羽生は01年まで王位戦9連覇。また、これを機に羽生と1学年上の佐藤康光、同学年の森内俊之や郷田らがタイトル争いに加わってくる。

◆王将戦 96年2月、羽生が谷川浩司王将を下して、当時7つあったタイトルすべてを獲得した。95年に竜王・名人・王位・王座・棋王・棋聖と6冠王となって谷川に挑戦。3勝4敗で敗れた。この後、すべてのタイトルを保持したまま再挑戦していた。同時に、翌月に控えていた元女優の畠田理恵さん(現理恵夫人)との結婚に花を添えた。

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