高梨沙羅(25=クラレ)は惜しくもメダルを逃し4位となった。地元北海道上川町で、高梨と“超固い”絆で結ばれたラーメン店「きよし食堂」の2代目店主阿部金一さん(80)は「残念ですがよく頑張ったと思う。混合団体で期待しています」と健闘をたたえた。

上川町は札幌から北東へ約175キロ。JR上川駅から徒歩約2分のきよし食堂は地元に愛され創業約40年。豚骨ベースのスープと自家製チャーシューがこだわりだ。阿部さんは「(高梨)沙羅は歩けるようになったぐらいの小さい時から家族でよく来ていたよ」と振り返った。高梨が決まって食べるお気に入りメニューは「超固めの野菜なしみそラーメン」。ゆで時間は通常2分ほどの中太麺だが、高梨の麺は1分ほどしかゆでない。阿部さんは「高梨家はみんな“バリンバリン”の固麺が好きなんだよ」と笑った。

阿部さんは、高梨が海外遠征した際にも、冷凍した麺とスープを特別に提供したことがあるという。北京五輪では汁と麺が空港で没収されると思いラーメンは送らなかったが、熱々のエールを届けようと上川町の6店舗のラーメン店で「北京タッグラーメン」(税込み1060円)の特別メニューを考案。ラーメンには、高梨と同じ上川町出身の勢藤優花(24=北海道ハイテクAC)の2人が「タッグを組んで頑張って欲しい」という意味が込められた。阿部さんは「町の人みんなで2人を応援している」と明るく話す。特別メニューはジャンプ競技が開催される5~7、12、14日に数量限定で販売している。

きよし食堂の店内には高梨のサインや写真が飾られている。阿部さんが最後に高梨と会ったのは21年の秋ごろ。あいさつを交わし高梨の実家にラーメンを届けた。新型コロナ禍もあり、簡単に会うことは難しいというが「今度会ったら一生懸命サービスしますよ」と固く誓った。【沢田直人】